【研究発表】
光電極における結晶面選択的な反応メカニズムを解明 〜合理的な光電極設計指針の確立に期待〜
https://www.tmu.ac.jp/news/topics/38627.html
1マイクロメートルよりも小さい微細な領域で電気化学計測が可能な走査型電気化学セル顕微鏡(SECCM: Scanning Electrochemical Cell Microscopy)を用いて、バナジン酸ビスマス(BiVO4)光アノード電極における結晶面選択的な光電気化学反応を直接可視化し、従来の理解とは異なる反応メカニズムを明らかにしました。電流マップイメージングにより、BiVO4マイクロ粒子による光酸化反応は{110}面ではなく、{010}面で優先的に起こることを初めて実証しました。電圧を印加して動作する光電極では、光触媒系で広く知られている内蔵電場主導の電荷分離が支配的ではないことを示しました。本研究成果は、2026年5月27日にアメリカ化学会「ACS Energy Letters」誌でオンライン公開されました。
- SECCM*により、結晶面選択的な光酸化反応活性をサブマイクロスケールの局所領域で可視化
- 電極上に固定されたBiVO4**マイクロ粒子の{010}面で光酸化反応が優先的に進行することを解明
- 光電極における結晶面選択的な反応がキャリア移動度に支配される可能性を提示
*走査型電気化学セル顕微鏡(SECCM):先端開口部を微細化したガラスナノピペットに電解液と参照極を充填したプローブを用いて、ピペット先端に形成される微小液滴セルと試料表面との間に微細な電気化学セルを形成し、その局所領域で電流(電気化学反応)や電位応答を測定する手法。プローブをXY走査して、位置ごとの電気化学特性を二次元画像として取得できる。
**バナジン酸ビスマス(BiVO4):可視光を吸収して電子と正孔を生み出すことができる半導体材料で、水の酸化分解反応のための光触媒や光電極として高い光触媒活性を示す。太陽光水分解による水素製造を実現するうえで必要不可欠な酸素発生反応を効率よく進行できることが知られる。
K. Honda, K. Hirata*, F. Amano, T. Fukuma, Y. Takahashi*,
"Facet-Dependent Photoelectrochemical Oxidation on Particle-Based BiVO4 Photoanode Investigated by Scanning Electrochemical Cell Microscopy",
ACS Energy Letters, in press, 2026.
https://doi.org/10.1021/acsenergylett.6c01004